SOUND COOKING

徹底して自分のテイストを
音のシェフになろう ”

 デリケートな隠し味を忍ばせたい……    あるいは、気になる雑味、苦味を消し去りたい……
そんな時に必須の機材が──


 まさに順列組合せの世界で周波数特性に微妙な変化をつけるカーブの組合せを自分の耳で決めていくスリリングな体験を堪能させてくれる。最後の仕上げとして個性のはっきりしたコンデンサーやケーブル類の組合せでテイストを整えて完成だ。
 グライコやパラメトリックイコライザーとは異なるスタジオ用イコライザー, Pultec EQP-1Aの特性をベースにしている。

 
このカーブを持った周波数のポイントを選ぶ。spl のパネルに並んだノブで、周波数の組み合わせはほとんど無限に近い選択が可能だ。頭で考えてしまうと時間ばかりかかってしまう。大胆にノブを回して音の変化を聴き、慣れると反射的にどこをどう弄ればいいのか判断できるようになる。ある意味、チャンネルデバイダーの特性コントロールに似たところがある。クロスポイントの両端を個別に変化させることができ、重なる部分の幅も自由に近づけたり離したりできるタイプだ。
 このシステムを使いこなすために乗り越えねばならない壁は、音の変化を敏感に感じ取る耳の訓練が必須である点だろう。私自身も独学だったせいで30年近い年月を必要とした。音の変化だけで、組み合わせるカーブの構成を決めなければならないのだ。測定器は何の役にも立たない。レコーディングの現場にも測定器は置いていない。スタジオにもないだろう。
 微妙な音の差異を聴き取って楽しんできたオーディオ愛好家であれば、イコライザーによる音の微かな違いが分からないはずはない、そう思ってトライしていただきたい。最初の数年は、やっぱりイコライザーはない方がいい、というレベルの音にしかならないだろう。バランスが崩れ、音楽が破壊されてしまう可能性が高い。そこで諦めてしまったら先には進めない。
 負けてなるものか、巨峰を登り切ってやる! そんなファイティング・スピリットが必要なのだ。継続は力なり、という言葉がまさにぴたりと当てはまる世界だ。



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