これぞ入門書

 わかりやすい

素晴らしい!

 『入門書』とはかくあるべし。著者の戸田山 和久は「哲学の生業は概念づくりで、それは人類の幸福な生存のためだ」と言っている。さらに「概念は人工物であり、人類に貢献する人工物を生み出すということでは『工学』に似ている。どんな人工物も正義の味方になったり悪魔の手先になったりする。だとするならば、哲学者のつとめは、できるだけ良い概念を生み出すことだろう。ここも工学と似ている」

 なんと明快な定義付けだろう。

「ありそでなさそでやっぱりあるもの」こそ哲学がずっと考え続けてきた中心主題だ、と続ける。この本には、過去の偉大な哲人は登場しない。そして「本書が誘うのは過去の文化遺産ではなく、いままさに進行中の営みだ」と言い切る。

 すばらしい。一読をお勧めしたい。

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