病み上がり

 2週間の入院から本日退院


 両下肢の深部静脈血栓が肺動脈に飛んで、肺梗塞となり自宅で意識を失い那覇市立病院に救急搬送された。

 血栓の量が多かったらしく、あと30分搬送が遅れたら助からなかったかもしれない、と言われた。ほぼマックスの血栓溶解剤をドカンと静注され、血栓が固まる前にギリギリセーフのタイミングで溶かすことに成功。持続陽圧酸素療法でまさに強制換気、と言えるような凄まじい酸素投与が3日間ICUで行われ、4日目から、密着タイプのマスクから鼻カニューレという負担の少ないタイプに交換。30L/hでの酸素投与が続けられ、抗凝固剤の内服併用で8日目に一般病棟に移った。

 当初は血圧は上が90前後、心拍は100〜110、SpO2:80%と危ない状態っだったが、やがて血圧も130まで回復、心拍は68〜70、SpO2:96〜99%(ルームエア)と正常化した。


 今回、状況を複雑にしたのは3〜5年おきに出現する、気管支喘息様の咳。上咽頭炎、後鼻漏に鼻粘膜にびっしり存在する咳のトリガーポイントの閾値の低下、過敏化という特殊な背景が重なったこと。

 空咳の治療になんと鎮痛剤のプレガバリンが効くと成書にも記載され、実際に患者さんへの処方でも効果は確認していたので服用を開始。ところが、副作用に『下肢の浮腫』、薬剤性浮腫をきたすことがある、という落とし穴が。

 階段の登りで息が切れる、等の症状も出始めていたのでそこに下肢の浮腫、ということで右心不全? となり心電図、心エコーもとってみた。流石に心不全と言える状態ではなかった。

 これが3月のこと。左優位の足のむくみがひどいのでちょっと利尿剤を使い、咳がひどい時にプレドニンを併用。これがどちらも裏目に出て、血栓症を加速させたようだ。

 隠れ低マグネシウム血症→低カリウム血症の症状(足がつる)もあった。すでに胸部の違和感、圧迫感なども出ていた。

 こうした背景の中で、一気に深部静脈血栓が増え、肺に飛んだ、という流れだ。

 救急搬送された早朝、なぜかその日はICUのドクターのトップ3が全員その場におり、迅速な診断と適切な集中治療が間髪を入れずスタートしたことが救命につながった。

 朦朧とした意識で、救急車の中で心電図がとられ、データは即座にICUに送信、到着後すぐにCT室に駆け込んだことは覚えている。

 帰宅して聴いた4343に、なぜか涙が止まらなかった──生還したんだな、と。


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