人生残された700週

 JBL4343 本格レストア、する?

 なんと言ってもファム・ファタール。1980年製の最初期4343、米軍マーケット経由のワンオーナーの希少品。このサウンドは複雑な力を持っていてわたしを違った方向に引っ張ろうとする。あてどなく彷徨って、変化する風景を眺めてきた。

 人間より老化のスピードははるかに遅いだろうが、経年劣化しているところはあるはずだ。4343のレストアでは信頼できる KENRICK SOUND に送って、レストア計画を立ててみようか。超高級パーツでの組み直しという『改造』ではなく、オリジナル状態への蘇生、ということに徹してのフルレストア、という趣旨を逸脱したくない。

 畢竟、わたしにとってJBL4343は『美』の頂点にあってこの姿、サウンドを超える存在は無かったという実感を噛みしめている。

 人間の寿命なんぞ4000週がいいところ。自分に残されているのはせいぜい700週くらいだろう。さて、そこで何をする…?

 このユニット群がもたらす、濃厚な陰影感──ディープな闇の表現、端正な水墨画のような、揺らぎのなさ。ソフトに鳴らしてもやわらなハイコントラスト感が消えないところが独特。

デザインの『美』は優先順位トップか

 プロダクト・デザインの世界を目指していたかつての自分にとって、4343のフロントバッフルのレイアウト、このグラフィカルなデザインはほぼパーフェクトだ。で、アンプはというと……

 YAMAHAのデザインの完成度の高さは見事だと思う。無駄な遊びのない潔癖なる緊張感がある。さすが世界的なブランドである。
 音質だけで追い込むとドイツSPLのプロ用、なのかも知れないが、やはり立ち居振る舞いの美がわたしには最優先になってくるようだ。
 そうなると、『隙』のない、繊細に張り詰めた『美』を湛えているのは YAMAHA しかなさそうだ。

4343をこのペアでドライブする。これが最終形かな。

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