青春と後悔

 甘酸っぱい記憶、辛苦・辛酸の思い出


 後期高齢者(75歳以上)まで、あと8年ある(笑)。まだ前期高齢者だ。だが、67歳という年齢は『信じられない』という思いで仕方なく受け止めている。

 人生を計画的に、綿密なスケジュールを立てて、無駄なく歩まれてきた御仁はその努力、克己が報われて悠々自適の日々を送られているはずだ。

 30〜50代に何をしていたか…? これで今がかなり規定されてくるのではないか。他者の『死』を見つめ、生き物としての肉体の、あるいは精神の限界を目の当たりにすると、己の脆弱性の種類、その本質がなんとなく見えてくる。

 自分を規定するのは生育歴であり親との関係性だ。大人のADHDや『回避性愛着障害』への分析が進み、そのおかげで『自分を冷静に見つめ直す』チャンスが増えた。

 青春時代の、救いのない回り道、時間の浪費、孤独に対する敗北がその時のオーディオのサウンドと絡み合って思い出される。

 JBL43シリーズの世界は、青春の敗残、遁走の記録と重なる重苦しい後悔の念と一体になっている。

 自分との戦いに敗れまくった時代に、目の前でなっていたJBL 4343、4344、4355……

 この歳になって、奇跡的な再会となった最初期型のJBL 4343が、エントリークラスの機器のみによるドライブにもかかわらず、求め続けてきた理想のサウンド、美音を奏でている。その姿に向き合い、胸が熱くなり涙が溢れてくる。 4343のデザインから受ける視覚的な呪術のような魔力にも引きずられ、トランス状態へと昇華していく。

 青春時代の闇を、遅まきながらやっと乗り越えることができたのかな……

 ゾクゾクするクールで繊細、柔らかに深く切れ込んでくる情け深い求心力。まるで、鋭利な刃物がスッと腹部大動脈まで達し、体内で激越な失血、血圧の低下をしたし意識が遠のく寸前のようなエクスタシーが持続する。

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