達成感/達観

 これでいい

 先入観を配して、謙虚に聴き入ってみれば…… 


 顕微鏡を覗き込むように音楽を聴いている訳ではない。響きの切片を検証している訳ではない。シルバーの初期型のCD&AMPで鳴らし毎日音楽を聴いている。聴けばきくほど複雑怪奇な気分に沈んでいく。で、同モデルの現行品からブラックモデルを選択した。
 スピーカーは勇壮に朗々となってくれるし、曲によっては繊細精緻な、透明感と深みのある艶を展開。オーケストラの弦も滑らかで色彩感豊かな響きが美しい。これ以上何がが欲しいワケなの? と自問を繰り返している。


 ネットがないと見た目こんなで、とても自分の部屋には置く気がしないと思われても仕方ない。ネットをかければ、むしろ虚飾のない機能美が好ましく思えるようになる。

過渡期の修羅場


 今は、本業があまりにも忙しく、調べ物や『お勉強』の必要性に追われてまったく余裕がない。検査部長と心エコーの画像を分析しながら肺高血圧症に至る前段階の三尖弁閉鎖不全を『発見』できたことが本日の大きな収穫だった。
 その原因は? 37.5℃以上の微熱が続き、労作時の呼吸苦も改善しなかった。白血球もCRP(体内で起こっている炎症の程度を示す指標)も正常、抗核抗体(自己免疫疾患などの指標)も正常。アレも打っていない。はっきりしているのは副腎皮質機能低下症の存在だけだ。血中コルチゾール値が低い。副腎クリーゼを起こすレベルではないにしても、自力で体内の炎症を抑える力が激減している。内科部長や薬剤師から疑問を投げかけられながらも、高単位のステロイドの点滴を主治医の権限と本人、保護者の同意を得て継続した。ステロイドによって激しく上昇する血糖値はインスリンできっちり正常域に収めた。このあたりはイコライザーをめぐるオーディオ世界の確執と似ている。測定重視、頭で考えた結果なのか、症状(鳴っている音)から判断するのか、の違いに現れる。

 そして、ついに「胸の苦しさが、なくなりました」と嬉しそうに語る笑顔を見ることができた。17歳のハーフの美少女だったから頑張った訳ではない。今後、副腎皮質機能低下症との戦いは一生続くことになる。弁膜症の再発を防ぎながらステロイドの減量を図っていくと言う綿密な治療戦略を立てねばならない。

 アレの副作用との戦い、現代人にとって宿痾とも言える慢性副腎疲労、糖尿病、癌との戦いが残された医師生命を懸ける仕事になりそうだ。そのために特化された医療機関への転職も視野に入っている。
 人生を謳歌した世代ではく、まだこれからと言う若い世代の救済にエネルギーを集中したい。

 




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