男の嫉妬を誘うカラヤン−①

 カラヤン嫌いの共通点とは?


 カラヤン50歳の時のブルックナー、その他の貴重な名演を収めたアルバムだ。


 81歳で亡くなる前にウィーンフィルと入れたライブとは違って、ここに『枯れた』カラヤンは存在しない。50歳、脂の乗った男盛りで、ギラギラした欲望のぎらつきさえ感じさせる。が、そこがむしろ素晴らしい演奏の求心力の源になっていると思える。欲情を漂白したようなご清潔な演奏が最上だなどと誰が決めたのか知らないが、そんな解釈はお門違いもいいところだ。そんなことを言う輩に限って不潔な欲求不満の塊になっているようにしか見えない。カラヤンは欲求不満なんて溜め込んでいなかった。発散し尽くしていた。だからむしろ健康的でメンタルも肉体もご清潔だった。みなぎるパワーに暗くいじましい劣等感や男の嫉妬などまったく感じさせない理由がそこにある。

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