My Audio Life/暇と退屈(5)
今時なんと能天気なことを……
【暇と退屈】、アンタ本当に暇だねぇ…… 本気でそんなことを考える時間があるなんて、いいご身分だ。まぁ、そうした声が聞こえてくるのは当然のことだろう。だからと言って、反論として仕事中に向き合っている現実のことを具体的に語るようなことはしたくない。今、亡くなる方が例年になく激増しているそうだ。テレビはそれをスピンするようにウクライナのペテン劇場で盛り上がっている。
病気や死で【喪失】に向き合っている人が増えている。人ごとではない、明日は我が身だ。
絶対に失いたくないものは?
コロナ騒ぎで、家族、友人、あるいは仕事やビジネスチャンスを喪失した人、突然の離婚、失恋…… 人生で突きつけられる選択肢を巡る決定的な価値観の相違が原因だったりもする。
そして、孤独の奈落で頭をかかえている時でさえ、忍び寄ってくる『暇と退屈』。ジリジリと周囲から追い詰められていくような日々の変化に知らないうちにメンタルストレスが蓄積しているはず。
失いたくないものの優先順位をよく考えて、頭の中でリストアップしておきたい。大切にしてきた趣味を捨てるようなことだけは避けたい。音楽は心の糧になるし、長くオーディオしてきた人にとっては装置をいい音で鳴らすという行為がもたらす満足感、達成感が何よりも重要であるはずだ。
オーディオにおける喪失体験は、意外にも過去に手放したスピーカーやアンプだったりする。後悔先に立たずなのだ。自分で決断したことのはずなのに……
買い戻す、という手段も残されているが精神的なブレーキがかかることの方が多そうだ───何を今更、と。
世界中が不穏な空気に包まれつつある今、気分を重くし、不安にさせるのは『喪失の予感』かもしれない。何が起こるかわからない、大切に守ってきたものが失われるかもしれないどんよりとした不安……
そんな状況だからこそ、満足感の薄い無意味な消費につんのめってしまう。自分で自分を追い詰めるサイクルを回し続け自らを蝕むと言うわけだ。
ここで語られるハイデッガーの<退屈の第一形式>と<退屈の第二形式>
【 続く 】
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