JBL4343

再会した初恋の4343は、40代の知的美女になっていた


 憧れの塊だったJBL4343と暮らし始めて2週間。彼女は見た目だけの軽薄な美女ではなく、これだけの頭脳、高い潜在能力を持った特別で、特殊な存在だった。スレンダーでツンとすまして、ナンパな男どもを突き放し続けてきた。道理のわかったプロだけが彼女を微笑ませることができたのだ。2人で蕩けるような音楽の悦楽の世界に入っていけるのは海千山千の恋愛巧者だけだった。それは、スピーカーシステムを自在に操れるSR–PAエンジニアやスタジオ・レコーディングエンジニアに限られていた。蘊蓄倒れの素人オーディオマニアには歯が立たなかったのだ。コンシュマー向けのオーディオジャーナリズムによって煽られた不思議な『使いこなし』や高価なアクセサリー類の使用では真実に辿り着けぬということがはっきりした。初期のJBL4343は純然たるプロ用だった、という事実を忘れたくない。








コメント