Alnico

今になって……

 アルニコとは、Wikiより:

 アルニコ磁石は、鉄に加えアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などを原料として鋳造された磁石(鋳造磁石)である。「アルニコ」の名前の由来は、各元素記号を単純に並べたものである。銅などを添加物として加えることがあり、強い永久磁石として利用される。
 20世紀半ばまで主流の磁石であったが、1960年代にコンゴ動乱の影響によって原材料のコバルトが暴騰したため、より安価で造形の容易なフェライト磁石などに主役の座を奪われた。

強い磁力
 一般的に利用可能な磁石として、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などの希土類磁石(レアアース磁石)と同じくらいに強い磁力を持つ。アルニコ磁石は地球磁場の約3,000倍に相当する1,500ガウス程の磁束密度を持つ。また、アルニコ合金は、約800度の高いキュリー点を持つ。
 




 1983〜85にかけての録音。初期オールアルニコの4343で初めて聴く。“ アルニコ ”というのは神がかりだ。何となくオーディオ宗教めいた信仰の匂いがする。揺るぎない哲理の香りである。胡散臭い、嘘っぽい、そう感じてもまぁ仕方ない。
 だが、実際にその音を聴いていると、これは念仏でも祈祷でもない理屈抜きの自明の理であることがじんわり分かってくる。

 どんな音楽でもその精髄に迫ることができれば感動は果てしなく深い。『静寂感』『透明感』『浸透力』『内省的、思索的』そうしたテーマを優先する音楽で、アルニコは威力を発揮する。生ぬるさを忌避、拒絶する響き。

 この冷たい荘厳感に裏打ちされた暖かさは生ぬるさとは一線を画す。それは本物の温かみだろう。


 この、ひんやりして上品な透明感をCDから引き出しているのは何と言ってもDAコンバーターの役割が大きそうだ。



 左右独立の外付け電源。


 この単機能DAコンバーターのシンプルさが音の『質』を支えている。あれこれのお遊び機能もなく、ヘッドフォンアンプも抱えていない。余計な接点、切り替えスイッチもない。強力な左右独立の【電源】にサポートされている。


 フリューゲル・ホーンとピアノの掛け合いがもたらす澄み切った緊張感は鳥肌ものだ。
 VINTAGE4343 が聴かせるのは古色蒼然たる世界ではなく、最新のハイエンド・スピーカーも色を失うような深い表現力だ。なにしろ、アルニコの塊を背負ったユニットの力だろう。減磁していて丁度いいんじゃない? と思える。過激な浸透力の切っ先がほんのり丸くなったような優しさを感じる。
 それにしても、アルニコのもつ病んだように思い詰めた透明感は独特で、ここに中毒性が宿るわけである。
 ECMの世界はこの病んだ透明感との親和性が高く癖になりやすいのだろう。
 アルニコに話を戻そう。現代のフェライトやネオジウムが性能的に劣っているということはあり得ない。むしろ、ヴィンテージのアルニコは減磁しているはずだし物理性能で言えば明らかに劣っているはずだ。そう、にもかかわらずアルニコの響きには独特の雰囲気がある。タンノイのアルコマックスもそうだ。独特のひんやりした繊細な風合いが感じられる。ちょっとしたことなのだが、音楽によってこれがツボにハマって個性が際立つ結果にいたる。先に述べたECMなどが好例だろう。実に単純な理由なのだ。





 










コメント