みえないフォルム/町田秀夫

 analog誌掲載のエッセイを読む (2)


 オーディオ評論、視聴記の多く、いやそのほとんどは『常套句』のオンパレードだ。“ 透明で澄み切った”が典型で、わたしも無節操に使い回してきた。たいていの音に関する記事は常套句の羅列と積みあげによって出来上がっている。音の輪郭が細いとか繊細だとか、主に視覚と結びつた表現で常套句が占められている。油絵のようにコッテリした、とか水彩画のようにあっさりしたとか……    例を挙げればキリがない。

『みえないフォルム』には常套句がない

 音、音楽、音場、装置と人、を語るさりげない表現に常套句は皆無だった。考え抜かれた表現で、ああなるほどな、と納得させられる本質が書かれている。流麗な美文などではなく飾らない潔い表現が貫かれている。

 ネタバレになるのであえて引用は避ける。ぜひ本を手にとって読んでいただきたい。目からウロコ(常套句💦)の清々しい感動を覚えるはずだ。




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