みえないフォルム/町田秀夫
analog誌掲載のエッセイを読む (1)
リンクサイト、『究極のリアル?』でお馴染みの“machinist”こと町田秀夫氏がオーディオ専門誌の『analog』で素晴らしいエッセイを執筆されている。タイトルは『みえないフォルム』だ。
氏に初めてお会いしたのは17年ほど前だったと記憶する。結婚してまもない細君を伴ってご自宅を訪問し、あのグリーンのホーンだけが見える、不思議なフォルムのスピーカーを聴かせていただいた。以来、細君ともども何度もそのサウンドに触れることになり進化を目の当たりにしてきた。氏のサウンドは一見、自分が追い求めてきた世界とは正反対の、全く異次元にある、と思われがちだが、実は重なっている部分がある。それも、核心的な部分で。だから、ずっとそのサウンドが忘れられず、チャンスを見つけては訪問させていただいてきた。
氏の読者であれば、今回のエッセイ『みえないフォルム』というタイトルでピンときたはずだ。音像に関わるこれまでの発言、立体感やら、輪郭やら……
冒頭に挙げたのは『作家殺し』の異名を持つ文章のプロ、近藤幸太郎の面白すぎる本だ。ここでのポイントは突き詰めれば【常套句】との戦い、になるだろうか。ちょうどこれを読み終えたところで『analog』が届いた。
文章を書くことの難しさを散々突きつけられた直後に、『みえないフォルム』を読んだわけだ。
短い作品だったが、強く心に響くものがあった。音を、音楽を、その空間を言葉にすることの信念のような、いや執念のようなものを感じた。
(2)に続く
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