MAGNEPAN
定常状態に
スピーカーは面白い。個性のはっきりしたシステムを使い分ける醍醐味はカメラのレンズ交換や、酒の飲み比べ、料理とのマリアージュを楽しむことにも似ていたりする。車では大型のセダンとコンパクトなライトウェイト・スポーツとの違いにも例えられよう。
マグネパンを車に例えると、これだろうか。全長は6m、幅は2mを超え、重量は2t以上、8200ccのエンジン、渋滞すればリッター1.5キロという燃費のモンスター、かつての愛車だ。いつかチャンスがあったら、もう一度乗りまわしてみたい。虚飾を排したシンプルな造形美。巨大というだけでアレルギーを起こさないでいただきたい。昨今のメルセデスやBMWのド派手でドヤ顔のアグレッシヴなデザインに比べ、実にエレガント。細く見えるAピラー(フロント側でルーフを支える柱)の繊細感、儚い感じが好きだ。
個性の大きく異なるシステムをコントロールする醍醐味は、また一つのオーディオの楽しみ方ではないか。それぞれが独自の世界を持っていて、他では出せない世界を描いてくれる。
MAGNEPANにはJBLの音は出せないし、JBLにMAGNEPANのこの世界は逆立ちしても描けない。
MAGNEPANのリボンツイーターは、片チャンネルあたりFOUNTEKのユニット15個を縦に積み上げたに等しいサイズ。サウンドもそんな感じか。ただし一つのユニットなので、干渉やずれの無い一体感がキープされている。
ヴィンテージJBLにはまたこのシステムにしか出せないテイストがある。フィルムカメラの銘器がみせる写真の世界にも重なる濃厚な表現。
目の前で鳴っているMAGNEPANのこの音場、響のニュアンス、テクスチャーは、やはりMAGNEPANにしか描けない世界だ。
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