29歳のメセニー
こういう音楽は65歳を超えた男には到底作りえない。若さゆえの情念、執着、惑溺…… 狂ったような、熱い思いがなければ無理だ。年齢による達観や諦観からは逆立ちしても溢れてこない澄み切ったしずく…… まあいいじゃないか、かつてはそういう時代を過ごせたのだから。
音楽は、そんな時代にトリップさせてくれるタイムマシンだ。感動して涙を流せるうちはまだ大丈夫だ。涙の中に現実の汚濁が溶けて流れていく、体の外へと排出してくれるのだから。
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