JBL SRX 835

 今時のJBL-PAスピーカー



 いつものバランスから大きく変更、という必要はなかった。いきなり、かなり真っ当な音でなってしまうのは名門JBLの新しい世代のSR-PAであることを実感できる。まさか、現場でこのスピーカーをただアンプにつないでいきなり鳴らすという使用法はありえない。必ず、何らかのシステムでエンジニアがコントロールするのが絶対の大前提だ。

 私は家庭用であってもまったく同じだと考えてきた。家庭での音楽再生は、小規模SR-PAである、と。そして、聴き手はサウンドをリプロデュースするエンジニアでなければならない、と。

 さすがに、能率120dBを超えるシステムに1000Wのパワーを叩き込んで鳴らすと言う強烈な使い方に耐えるJBLのプロ用、家庭で聴く音量ではエージングがなかなか進まないだろう。

 新品の硬さがとれてきたら、これは家庭用として十分以上に使えるシステムだ(ただしイコライザーは必須)。



 机上プランとして、ここに077を追加してみると面白そうだと感じている。見た目的にもしっくりきそうだ。リボンツイーターはマルチアンプ化しないと能率的にバランスが取れないし、音色的にも合わないだろう。


 ネットがあった方が見た目がシックで落ち着くが、音は無しの方がシャープで繊細、抜けがよく音場も広がる。ま、いつもの型通りの反応だ。仕上げは業務用のタフネス感がみなぎるものの丁寧で手慣れた工作ぶりでバスレフのポートも初期型から改良が進んでいる。高域ホーンの両サイドにスリットが切られているが、大音量再生時のことを考えての何かの対策と思える。この面構えは見慣れた人はいいが、やはりかなり挑戦的で圧迫感を覚えるかもしれない。私も細君も免疫が完成してるので、音はずっといいんだから外しておきましょうよ、と言うことになる。

 このシステムの核になるのは中域ユニットか。最近のJBLプロに多用されている自信作のようだ。強固なフレーム兼バックチャンバーをもち非金属のダイアフラムで新品のうちから人の声や弦楽器に自然な潤いと清明な解像度を両立させている。

 ウーファーも高域ドライバーも専業メーカーの強みで、限られたコストの制約の中で量産効果にも助けられてか、極めてCPの高い仕様になっている。デザインはJBLらしい清潔感のあるサッパリした雰囲気も感じさせる。




 
 鳴らし始めてから3時間が経過し、かなりこなれてきた。で、思うことは、APOLLO と似ているな、と言う点だ。同じJBLなので当然かもしれないが、ブランドの個性をキープするサウンドコントロール技術には感心する。十分上はのびてきたし、077は要らないか……    無骨な見た目からは想像しにくい繊細でエレガントな響きになってきた。

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